プロセッサの脆弱性「Meltdown」と「Spectre」についてまとめてみた
森永です。
新年早々大変な脆弱性が出てきてセキュリティクラスタがざわついてます。
内容によって2つの脆弱性に分かれていて、「Meltdown」と「Spectre」と名前がつけられています。
現在使用されているほぼ全てのCPUにおいて対象となりうるという相当影響範囲が広い脆弱性です。
まだ詳細が公開されていない部分もありますが、パッチで対処できる脆弱性ですので落ち着いて対応し、続報を待ちましょう。
現在分かっている範囲の情報をまとめます。
概要
今回の脆弱性は大きく3つに分けられます。
- Variant 1: bounds check bypass (CVE-2017-5753)
- Variant 2: branch target injection (CVE-2017-5715)
- Variant 3: rogue data cache load (CVE-2017-5754)
Variant 1と2のことを「Spectre」、Variant 3のことを「Meltdown」と呼称しています。
Meltdown
内容
- OSとアプリケーション間でデータをやり取りする部分に関する脆弱性
- メモリ上の本来はプロテクトされているはずのデータが見えてしまう(パスワードなど機密情報も見える)
- 1995年以降に製造された全てのIntelプロセッサが対象となりうる(2013年以前のIntel Itanium/Atomは除く)
- ARMやAMDは未確認だがありえないわけではない
- CPUに関連する脆弱性のため、個人のPCだけでなくオンプレサーバ、クラウドのサーバ全て対象となる
- IntelのCPUを搭載したスマホなども対象となりうる
- パッチ適用していないIntel CPUとXen(PV)を使用しているクラウドベンダでは影響がありうる
- DockerやLXC、OpenVZなどを使用していても影響がある可能性がある
- 完全仮想化している場合は影響なし
- OSのパッチを適用することで対処可能
- 各社パッチを公開し始めていますのですぐ適用しましょう
- アンチウィルスソフトでの検知は理論上は可能だが、現実的には難しい
- 通常のアプリケーションの挙動と区別が非常に難しい
- ログが残らないので攻撃を受けたことをトレースすることは難しい
報告者
- Google Project Zero - Jann Horn
- Cyberus Technology - Werner Haas, Thomas Prescher
- Graz University of Technology - Daniel Gruss
- Graz University of Technology - Moritz Lipp
- Graz University of Technology - Stefan Mangard
- Graz University of Technology - Michael Schwarz
Google Project ZeroのJann Horn氏によるレポートはこちらです。
CVE
Spectre
内容
- 違うアプリケーション同士でデータをやり取りする部分に関する脆弱性
- メモリ上の本来はプロテクトされているはずのデータが見えてしまう(パスワードなど機密情報も見える)
- モダンなCPUは全てが対象となりうる(Intelに限らず、AMDもARMでも確認済み)
- CPUに関連する脆弱性のため、個人のPCだけでなくスマートフォン、オンプレサーバ、クラウドのサーバ全て対象となる
- アプリケーションのパッチを適用することで対処可能
- 一部アプリケーションでパッチが公開されています
- 全てのアプリケーションでパッチが適用されることは考えれらないため、Meltdownより対処が面倒
- アンチウィルスソフトでの検知は理論上は可能だが、現実的には難しい
- 通常のアプリケーションの挙動と区別が非常に難しい
- ログが残らないので攻撃を受けたことをトレースすることは難しい
報告者
- Google Project Zero - Jann Horn
- Paul Kocher
- University of Pennsylvania/University of Maryland - Daniel Genkin
- Rambus - Mike Hamburg
- Graz University of Technology - Moritz Lipp
- University of Adelaide/Data61 - Yuval Yarom
Google Project ZeroのJann Horn氏によるレポートはこちらです。
CVE
詳細
論文読み中。
後ほど追記します。
最後に
CPUの脆弱性ということで非常に影響範囲が広いです。
ただし、パッチで対応できるようなので焦らず粛々と対応しましょう。